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長雲

この間の日曜の夜から月曜の朝にかけて、
奄美で激しい大雨が降り、
特に、奄美大島の北部で大きな被害が出た。

あの、昨年10月20日の豪雨災害から
間もなく1年が経とうとしていたところに、
地域によっては、あの日以上の被害が出てしまった。


鹿児島県大島郡龍郷町(たつごうちょう)大勝(おおがち)。
この集落が、特に大きくやられた。

なぜ東京にいるボクに、この小さな集落の様子が分かるのか。
大勝集落には、黒糖焼酎『長雲』を醸す山田酒造さんがあるからだ。


昨年のあの日は、電話がつながらなかった。
次の日も、つながらなかった。
ようやくつながって、
仕込み水に使われる地下水が溢れて、
事務所まで水が入ってきた、と聞いて、
ほっとした。
大変な被害だが、この程度の被害は以前にも数度聞いたことがあった。
なので、すぐに立ち直れると、勝手だが、そう判断して、
ひとまず、ほっとした。


今回の激しい雨は、山田酒造に泥水が襲った。


月曜の朝、電話をしたら、つながった。
そこまでは良かったが、話を聞いて、唖然とした。




『あまみ長雲』が生まれたのは、
奄美群島が本土復帰した昭和28(1953)年。
初代・嶺義氏が、地元の農協が建てた小さな工場で
黒糖焼酎造りをはじめた。
そこには、名瀬市内に向かう峠、本茶(フンチャ)峠を越える
フンチャ道があり、
峠には山田川(山田ゴー)が流れ、
市内に向かう最初の橋、一番橋のたもとにあった。

それからずっと、ここ龍郷には、山田酒造しかなかった。
龍郷のシマ(集落)酒は、長雲だった。
初代は、地元・龍郷の人々のために、ひたすら、
長雲を造り続けた。

20年ほど前、龍郷に、大きな工場が建った。
黒糖焼酎に初めて減圧蒸留を取り入れた蔵だ。
この蔵の醸す新しいライトタイプの味わいに、
シマの人々は魅了された。
長雲は、「おたくの酒はクセがある」といわれ、
売り上げは、みるみる減っていった。
2代目・隆氏は、廃業を真剣に考えた。

その時、長雲を救ってくれる方々がいた。
だからこうして、今、長雲がある。
山田酒造は、今でも、その時の恩を忘れていない。


IMG_3146.jpg



初めて山田酒造に伺った時、
2代目の現社長にお話を伺った。
たくさんの質問を投げかけたが、
「うちは、変わらずに、造り続けているだけです」
というだけだった。
その顔は、とても穏やかで、しかし、その裏に見えた強い信念が
ボクを、あっという間に長雲ファンにした。


3代目・隆博氏は、ボクの一つ上、
ボクは、シマの兄ちゃんだと思っている。

当時、こんなことを書いたら怒られるかもしれないが、
親子の確執が見えた。
もちろんそれは、酒造りにおけるもので、
まあ、よくある話だが、
最近、尊敬するのは親父だ、という話を、たびたび聞くようになった。
責任感というか、なんというか、とにかく、
最近の3代目には、溢れる情熱を感じる。
それは、長雲を飲めばわかる。
兄ちゃんのことを偉そうに、そう感じる。

これだけ書いて終わりにしたら、
大層気難しい人と思われてしまうが、そんなことはない。

ボクが知っている蔵元の中で、
一番に、良く笑う。
いつもガハハと笑っている。

今フランスで頑張っている味彩の元スタッフ・聡一郎が、
奄美の兄ちゃんに、こう言われた。
(以下、聡一郎の記事より)

「僕が店に来た時は、君は今のような笑顔をしていなかった。
 人に好かれたいと思うなら、自分がまず笑顔でいなさい。」
と、ご指摘をいただきました。
文字で表すとなんだか説教めいた感じに見えてしまいますが、その方は
本当に笑顔でそうおっしゃって下さり、
僕は素直に納得してしまいました。
なんといったらいいか分かりませんが、
どこか恨めない、その笑顔に素直に納得させられてしまい、
自宅までの帰り道自転車をこぎながら反省してしまいました。




月曜日、話を聞いて、唖然とした。

昨年の豪雨被害で、山田川の川底が上昇していて、
そこに今回の雨が叩きつけ、
一気に溢れ、長雲の蔵に流れ込んだようだ。

あの大きな2次仕込み用のタンクが、
蔵の中で、泥水の上に浮かんでいたそうだ。
仕込みの時期でなかったのが不幸中の幸い、
焼酎は無事だった。しかし、
瓶詰めや発送に使われる、ありとあらゆるものが、
すべてダメになった。
製麹機などの機械も、なんとか無事だった。しかし、

先ほど、この記事を書く前に、もう一度電話をしてみると、
3日経った今もまだ、泥水は引かず、
いつもの蔵に戻るには、まだまだ時間がかかりそうだった。


去年のあの日、ようやくつながった電話の声は、
いつもどおりの、ガハハだった。
その声が、心の奥底に響いたのを覚えている。

だが、先ほど聞いた声は、いつものガハハの裏に、少しだけ、
いつもの3代目でない響きが残った。



今は頑張ってとしか言えませんが、
落ち着かれたら、ボクらに出来ることをやります。
それまで、今日も明日も、長雲を、たくさん飲んでいただきます。
電話を切る前に、ボクは、そう言った。



ボクと奄美の兄ちゃんとの約束を果たすために、
皆様のご協力をお願いしたく、また、
いまこそ、長雲の"溢れる情熱"を、味わっていただきたい。
そうしてガハハと笑っていただけたら、
これ以上のものはない。

IMG_6395.jpg




4年ほど前から、"シマ酒案内人"を名乗らせていただいている。
それは、龍郷のシマ(集落)酒である長雲が、
いまでも変わらぬ長雲であるからだ、ということを付け加えて。








そういうわけで来月10月は長雲月間店長 小田


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